大好きな野菜はソラマメ、おうち菜園の江里です。ずーっとパソコン作業をしていると疲れるので、たまにぶらぶら散歩をして気分転換しています。
さて、今回はキノコの”栽培方法”のお話。スーパーでみかけるキノコたちが、どのように栽培されて家庭まで運ばれているのか。これについて書いていきます。タイプとしては、より自然に近い形で育てる”原木栽培”と、人工的に環境を整える”菌床栽培”の2種類。
では、詳しく見ていきましょう。
天然に近い環境で育てる”原木栽培”
より天然に近い質のキノコが生産できるのが、原木栽培。原木(材料となる木)にキノコの菌(卵のようなもの)を植え付けて育てる方法です。収穫できる状態にもっていくのにかかる期間は、半年から2年。屋外栽培になるので天候や虫の影響を受けやすく、栽培期間も長いのがネックですが、より自然に近い環境で育てることで風味が増すと言われています。農薬や化学肥料の使用は、もちろんなし。
使う原木には、コナラ、クヌギ、シデ、サクラなどの種類があり、キノコによって適した木材があります。重い木材を運ぶ原木栽培は重労働というのもあるのか、後継者が少なく、年々生産者が減っているそう。一方で、風味豊かなキノコに惹かれる人が多いことも確かです。
人工的に環境をつくる”菌床栽培”
菌床栽培の材料は粉末にした樹木、米ぬか、ふすま(麦のぬか)、そして水です。これらを適切な配合で混ぜ成形し、袋につめて殺菌、無菌状態で菌を植え付けます。これを”菌床”と呼び、だいたい3~4ヵ月ほどかけて収穫できる状態にもっていく栽培方法です。
原木栽培に比べて少し風味が劣ると言われていますが、温度や湿度をコントロールできる空調施設で栽培が行われるので、農薬は使いませんし、天候の影響も受けません。収穫までに半年以上かかる原木栽培に比べると、短期間での収穫も可能です。年間を通して安定生産できるので、僕らも毎日安価でおいしいキノコを食べることができるようになりました。
現在の国内のキノコ生産では菌床栽培が圧倒的で、原木栽培とは反対に、年々生産量が増えているとか。いまやスーパーなどで販売されているものは、ほとんど菌床栽培だそうです。
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「風味は原木栽培のほうが良質」というような表現はしましたが、菌床栽培のきのこも十分においしいです。ぼくは以前、市販の栽培キットでシイタケを育てたことがあるのですが、採れたてのキノコが自宅で食べれて、もうほんと最高でした。プライパンに裏っ返しにして焼くと傘に”旨み”がたまるので、味付けは一切なしか、ちょちょっと醤油をかけるだけで幸せな気分になれました。
日々スーパーでキノコを買うときに、そのパッケージ表記をちょっとだけ気にしてみてください。多くは菌床栽培だと思いますが、「このキノコちょっと高いなぁ」と思ったら、実はそれは原木栽培かも。「月に1回は原木栽培のしいたけを食べよう!」という健康的なプチ贅沢をつくってみるのもよいかもしれません。
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