皆さんは、「ジオデジックドーム」という言葉を聞いたことがありますか?これはとても効率のよい建築方法で、五角形や六角形の面を組み合わせて球体に近いフォルムを再現するもの。
例えば、サッカーボールを想像してもらうとわかりやすいのですが、あれはまさに五角形と六角形の組み合わせで成り立っていますよね?
乱暴に要約すると「ジオデジックドームとは、サッカーボールを半分に切ったように作った建物やテント」というイメージです。強風や地震に強く、空調効率もよく、少ない材料でより多くのスペースを作れる建築方法です。
屋上に置くドーム型農場「Globe/Hedron」
まさに「ジオデジックドーム型農場!」と言いたくなる未来的な菜園を作ったのが、スイスの企業「UrbanFarmers」。デザインは、同じくスイスの「Conceptual Devices」という団体が担当しました。
ドーム型の形はもちろん印象的なのですが、特に注目してもらいたいのが、これひとつで野菜と魚を同時に栽培できる点。おうち菜園で何度か紹介しているエコな農法「アクアポニックス」を採用しています。
年間400kgの野菜、100kgの魚を生産
ドームの中は、真ん中に魚の水槽が、それを囲むように野菜が6段に重なって育つようになっています。魚が汚した水を植物が栄養として吸収し成長、それが浄化されてまた水槽へ、というとってもエコな循環が再現されています。
野菜は、トマト、ピーマン、ブロッコリー、レタスなど様々なものが栽培でき、魚はマスやサケ、ティラピア(白身魚)などの淡水魚を想定しています。これで、年間400kgの野菜と100kgの魚を収穫できるそうです。これってどれくらいの量なのでしょうか。
日本人は年間100kgの野菜、50kgの魚を消費
色々調べてみると、日本人の野菜消費量は年々減っていて、2011年の時点ではひとり当たり年間91kg。魚に関しては世界6位の消費量で、ひとり年間56kgを食べているそう。
とすると、このドーム型農場ひとつで4人家族は十分に養える計算。ちょっと魚は足りないかもしれませんが、野菜はむしろ近所におすそわけできちゃうほど収穫できそうです。4年間は安定して使える耐久性もあるそう。
家庭にひとつ、プライベート農場
もしかしたら、こうしたドーム型農場が家庭にひとつ置かれる時代がいつかやってくるのかも。週に1回、自宅の屋上農園でちょっとした生態系を観察して、さらには収穫もして食べる、そんなシーンが当たり前になったら、より多くの人が地球にやさしくなれていそうです。
皆さんの家、もしくは周りに使われていない屋上スペースはありませんか?ちょっとしたアイデアで、その場所が菜園に早変わりするかもしれませんよ〜
野菜と魚の消費量については下記のリンクを参考にしました。
野菜の消費をめぐる状況について|農林水産省
農林水産省/我が国における魚介類摂取の特徴
アクアポニックスについてはこちらの記事をどうぞっ!
まさに家庭用ビオトープ。海外で話題の循環型農法「アクアポニックス」とは
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