読者の皆様、こんにちは。和ハーブ協会の平川美鶴と申します。
これからおうち菜園にて、和ハーブをお料理でいただく喜び、育てる楽しみなど、さまざまな角度から和ハーブライフをご提案していきます。
シソもワサビも「和ハーブ」
「ハーブ」という言葉からは、海外のものを思い浮かべる方が多いかもしれませんが、じつはこの日本にも、ハーブとその文化が受け継がれてきたことをご存知でしょうか。
少し意外かもしれませんが、今ちょうど新芽摘みの時期を迎えている緑茶、つまり「チャノキ」は、日本人にとってもっとも身近で香り・薬効が高い「和ハーブ」の代表です。
ハーブは狭い意味でとらえると「香りや薬効が強い植物」を指しますが、ここから連想するとシソ(紫蘇)、ワサビ(山葵)、サンショウ(山椒)、アシタバ(明日葉)も和ハーブ。ちなみに、伊豆諸島が原産のアシタバは今が旬です。
これらを日本のハーブ=「和ハーブ®」と呼びます。和ハーブは日本人の暮らしにずっと長く役立ってきた植物たち。じつは皆さんの周りにたくさんあるのです。
紀元前250年頃、中国(秦)の始皇帝の遣いが八丈島に最後に辿り着き、やっとの思いで見つけた不老不死の薬だった。そんな伝説が残るほど、薬効が高いもの。大切だからこそ、和ハーブはこうしてしっかり昔から受け継がれ、日々の生活の中に根づいています。
和ハーブは、日本人の宝物
私たちの身体は、日々摂取するものからできています。植物素材のなかでも特に「ハーブ(Herb)」は、いつもの何気ない料理を個性豊かにしてくれる存在です。
香りや彩り、味わいは、素敵なアクセントや隠し味に。健康・美容作用の高さも魅力で、世界的に注目を浴びています。
私たちの野生が求める「身土不二」
皆さんは、「身土不二(しんどふじ)」という言葉を耳にされたことはありますか?仏教に由来するこの言葉は、“生まれついた風土と身体は二つに分けられない”という意味を持ちます。
一方で国境を越え、インドに目を向けてみると、これと同じ考え方が伝統医療「アーユルヴェーダ」にあります。代々食べ慣れた味のことを「サートミヤ」と呼び、その土地に育ち、慣れ親しんだものがいちばん身体によいとする考え方です。
国は違えど、こうして同じ真理が伝統的に説かれてきました。つまり人間にとって、生まれついた風土の植物が心身にもっともなじむ、これがごく自然なことであると。身近な和ハーブこそ、私たちの野生が素直に求めるものなんです。
日本の風土に息づく「和ハーブ」
和ハーブたちは今も、この風土で静かに息づいています。過去から受け継がれてきた和ハーブは、日本人には欠かせない素材。
しかし私たちは、昔の日本にこうした大切な宝物を置き忘れてきてしまいました。
シンプルだけど魅力がいっぱいで、私たちの暮らしに馴染むもの。けれど今や当たり前になりすぎてうもれてしまっている。そんな「和ハーブ」のこと、見つめなおしてみませんか。
「和ハーブ」の概念や基礎知識を系統的・段階的に学べる、楽しく実践的な「和ハーブ検定」。次回は2015年7月12日(日)全国一斉開催です。詳しくは和ハーブ協会公式HPへ。
平川 美鶴 – Mitsuru Hirakawa –
和ハーブライフスタイリスト
8月2日、ハーブの日生まれ。全国でのフィールドワーク体験を重ね、各地に伝わる植物文化や活用法の知恵などの素晴らしさを再発見する。「日本人と和ハーブ」の関係性を文化・薬効・産業利用などの様々な面から研究し、和ハーブの知恵と魅力を伝えるメッセンジャー。現在は一般社団法人和ハーブ協会理事として、講座・講演、執筆、ラジオなどメディア出演、地域振興プログラムなどを行っている。近著『あなたの日本がもっと素敵になる 8つの和ハーブ物語 -忘れられた日本の宝物-』(産学社)
※一般社団法人和ハーブ協会では「和ハーブ」を在来種(日本原産)、あるいは江戸時代以前より日本に自生したり、広く一般に活用されてきた有用植物として定義しています。
※「和ハーブ®」は株式会社ルーシーダットンの登録商標です。
Profile
- 日本のハーブ=”和ハーブ”を紹介する国内唯一の専門団体。
「和ハーブ検定」や各種講座を実施しています。 公式サイト、公式Facebookページ
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