うちの部屋にテレビはありません、おうち菜園の江里です。
家庭菜園をしたいと思っても、「うちは庭がなければベランダさえもない…」と断念した経験、みなさんはお持ちですか?
窓際にちょっとだけスペースが残っていたとしても、育てられるのはせいぜいハーブくらい。収穫量に関していうと、物足りないかもしれません。
ドイツの大学生がデザインした菜園「Parasite Farm」は、そんな人にとっては手を伸ばしたくなるものかも。生ゴミを再利用して、それを使って本棚で家庭菜園ができちゃうんですから。
もう生ゴミは捨てない、育てよう
ドイツ北西部の都市ハンブルクにある大学、ブラウンシュヴァイク造形美術大学の生徒シャーロットさん(Charlotte Dieckmann)がデザインした菜園「Parasite Farm」は、直訳すると”寄生菜園”。あまりやさしい名前ではないですが(笑)、「家庭にもっと手軽に菜園スペースを」という想いは伝わってきます。
菜園は、”コンポスト一体型のまな板”と”本棚に設置できる菜園”の2つで構成されています。まな板をスライドさせると下が生ゴミの投入場所になっていて、切った野菜をすぐに放り込めます。
コンポストとは
生ゴミに含まれる有機物を分解して堆肥化(肥料)すること。バクテリアやミミズにこの分解を助けてもらうのだが、炭素と窒素のバランスが重要で、新聞や木材なども一緒に投入することで分解をスムーズにする。
「Parasite Farm」のまな板一体型コンポスト機だと、だいたい3ヵ月くらいで生ゴミが堆肥化するそう。下部が通気口になっていて、これによってうまく空気が循環し、生ゴミが堆肥やコンポスト液となって出てきます。
庭なし、ベランダなし
野菜の皮や硬い芯など、毎日でる生ゴミにはたくさんの栄養が含まれています。「私たちが食べれないだけ」という理由で毎日捨てることに罪悪感を持っていたシャーロットさんの家には、庭もベランダもありませんでした。
この経験を元に生まれた「Parasite Farm」。思わず関心してしまうのは、コンポスト機だけではなく、それを使って室内で家庭菜園ができる環境も用意したこと。
料理をしたら生ゴミをコンポストに、それが肥料になったら菜園に、野菜が育ってきたら収穫して料理に、という具合に家庭で”食の循環”を生み出すことができます。これはいいなぁ。
まだプロトタイプの段階で市販はされていませんが、家庭菜園に必要なスペースとして「庭」「ベランダ」の他に「本棚」を追加できそうな素敵なアイデア。
ぼくは村上春樹の本が大好きなので、例えば『海辺のカフカ』を手に取るついでに「お、そろそろレタスを収穫するか」みたいなシーンが暮らしに加わりそうな予感です。
みなさんは、「本棚菜園のある暮らし」でどんな未来をイメージしますか?
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