どうも、1年間の旅で一番よかった国はインド、おうち菜園の江里です。
以前、2006年から銀座のビルの屋上でミツバチの飼育をしている「銀座ミツバチプロジェクト」について紹介しました。「危ない」というイメージが強かった蜜蜂に、やさしい視線を向けたくなる記事でしたよね。
関連記事:銀座でミツバチを飼育して9年目。”銀ぱち”広報の田中さんに聞いた街づくりの秘訣
そして今回は、この”香港版”ともいえるプロジェクトの紹介です。
普段ハチミツを買っている人へ、ちょっと立ち止まってその”産地”を確認してみてください。例えばそれが”香港産”であれば、日本からどれくらい離れているのかをイメージできますか?(東京から香港までの距離は約3000km)
その距離感を感じつつ、この記事を読んでもらえたら嬉しいです。
香港の養蜂プロジェクト「HK Honey」
「HK Honey」は、香港の油麻地(Yau Ma Tei)で始まった養蜂プロジェクト。ロンドン出身のプロダクトデザイナーのMichael Leung(以下、マイケルさん)が発起人となり、2010年7月にスタートしました。飼育場所はビルの屋上で、これは銀座の例と共通です。
ここで採れたハチミツは、地元生産品として提携店舗(もしくは公式サイト上)で販売されています。他には、蜜蝋(みつろう)を加工したキャンドルも。
香港で採れた作物(ハチミツ)を、香港の人たちに届ける。まさにこれは”地産地消”。例えば、1万kmも慣れたフランス産よりも、10kmの場所まで足を運んで生産者の顔を実際に見て買ったハチミツの方が、不思議と親近感がわきますよね。
プロダクトデザイナーが養蜂家に
香港人の親を持つマイケルさんが農業に興味を持つようになったきっかけは、生まれ育ったロンドンでの暮らし。週末のマルシェに足を運んでは日曜日は買った食材で料理を楽しむ、そんな時期があったそうです。
ロンドンから香港に引っ越してきたのは、2009年。この頃から活動を始め、実際にプロジェクトを走らせる前には、香港初の”都市養蜂家”としてデビューをします。
中国では、防護服やフェイスネットを全く使わずに養蜂の練習を行うそうですが、これはマイケルさんも同じ。週1回のチェック時は、呼吸を整え、素手でゆっくりゆっくりと巣箱を持ち上げて様子を見るそうです。
多くの人はミツバチを攻撃的な生き物だと思っているけれど、実はとても友好的な存在。危害を加えない限りは決して刺しません。
食べ物が食卓に運ばれるまでの風景は、現代人にとっては”謎”になってしまっています。一方で、私たちが日々食べている作物の3分の1の受粉を助けているのはミツバチです。
香港にはあまり多くの自然(蜜源)が残っていない。ここでいかにミツバチが生き延びるための環境を整えていくのか、毎日が挑戦です ーマイケルさん
活動内容は、ハチミツ・キャンドルの販売から養蜂ツアー、ワークショップ(キャンドル作り)、さらには学校での講演まで。香港の屋上で採れたハチミツを持って、養蜂の大切さを様々な方法で伝えています。
「養蜂=ミツバチ飼育」とリンクする人はまだ少ないかもしれませんが、こうした活動が世界各地(例えばパリでも)で起こっていることは事実。特に今回の事例は、「デザイナーから養蜂家」という転身に特別な熱意を感じました。
ぜひこれを機会に、5分だけでもいいのでミツバチについて考える時間をつくってみてください。私たちの食事を影で支えている、大事な仲間たちですから。
「HK Honey」の素敵な動画はこちら▼
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