土地がないなら海で農業を。ロンドンで開発中の浮遊式水耕栽培器「Sealeaf」

みなさんは、”農地”という言葉にどんなイメージを持っていますか?多くの人は土が敷き詰められた土地を浮かべるかもしれませんが、ロンドンの研究者たちはこの概念を大きく広げようとしています。

その動きとは、海上での農業を可能にするもの。海も農地と考えるのです。

考えてみてください。”海の土地”とも言える日本の排他的経済水域の広さは、約447万㎢。これは日本の面積の10倍以上で、インドの国土にも勝ります。

もしこの広大な農地(海)をうまく活用できたら、これからの農業が変わっていくかもしれません。そこに一歩近づける装置とはどんなものなのか。詳しく見ていきましょう。

海で農業を可能にする水耕栽培器「Sealeaf

ロイヤル・カレッジ・オブ・アートインペリアル・カレッジ・ロンドンの研究者たちが開発している装置「Sealeaf」は、海上で一度に6株の作物を栽培することができる浮遊型の栽培ユニット。

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© Sealeaf

装置は、1ワットのソーラーパネル、貯水タンク、エアレーション、養液タンクなどで構成され、太陽光や雨水を有効活用することで電源を必要としない仕組みをつくっています。

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ユニットの内部構造 © Sealeaf

“ユニット”と呼ぶのは、これを海の上で連結して拡大することが可能だから。青色の部分は生産者の足場の役割を果たし、これが海上にずらっと並ぶことで”青い作業通路”をつくります。

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© Sealeaf

例えば、これでチンゲンサイを栽培した場合、年間の生産量は約20kg(1ユニットで6株×年7回の収穫=42株)で、これは米国市場では約105ドルの価値。ユニットひとつのコストが50ドルなので、十分に収益を得られることがわかります。

新鮮、ローカル、無農薬栽培を大都市で可能に

研究チームが焦点を当てているのは、世界に散らばる大都市。例えば、現在93%もの食料を輸入に頼っているシンガポールは、かつては2万もの農家が暮らす場所でした。

さらに、世界の大都市の半分以上は沿岸に接している事実にも注目。日本でも例えば、東京、愛知(名古屋)、大阪、広島、福岡などは海に面した都市を抱えています。

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2050年には世界人口の3分の2以上が都市に住むという予測も © Sealeaf

こうした人口が増加しており、かつ海に面している地域に対して「海でも農業はできるんだ」と提案しているのが「Sealeaf」です。

これは単に「従来の農業はやめだ」と言っているのはなく、農業の可能性を押し広げるもの。土を使わずに水で育てる農法「水耕栽培」を採用することで、既存の価値観を打ち破り、”農地”の概念を拡大させています。


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今回は、ちょっと重めの環境的な話になってしまいましたが、今まで当たり前だった価値観(農業には土が必要)に切り込みを入れ、そこから新しい可能性を切り開いていく人たちの存在は貴重です。

皆さんにもないですか?日々疑問に感じているのに「まぁみんなそうだし」と思考停止してしまっていること。ロンドンの研究者が「海でも農業はできる!」と主張しているように、あなたもふとした不満を大切にすることで、新しい価値を切り開いていけるかもしれません。

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