何かうれしいことがあったとき、その喜びを独り占めするのもよいですが、他の人とも共有すれば何倍にも増えたような気持ちになります。
例えばこれを家庭菜園で考えてみると、収穫や食事の瞬間が浮かびます。大切に育てた野菜をついに収穫するとき、それを食べるとき、言葉にできない嬉しさがありますよね。
そんな想いを場所を超えてシェアできるのが、家庭菜園SNS。今回は、日本で最も有名なサービス「Cropnet」と「菜園ナビ」の運営者のふたりにお互いの想いを語っていただきました。とても濃い会話内容で、全てをここで書き切ることはできないので、ほんの一部をシェアします。
すでに家庭菜園をやっている人も、興味はあるけどやっていない人も、この記事を読んだ後に少しでも”日々目にする野菜”への印象が変わっていればいいなぁと思います。
Cropnetと菜園ナビ
Cropnetは2012年3月、菜園ナビは2013年3月にスタートした家庭菜園特化型SNS。菜園日記の投稿はもちろん、不明点をユーザー間で教え合う機能もあり、周囲に仲間がいない初心者にはピッタリなサービス。いくつかの共通機能はあるなか、「Cropnet」には海外在住のユーザー、「菜園ナビ」には農家が多いなどの特徴があり、サイトデザインの印象も大きく異なります。「Cropnet」は株式会社シーエーシー(代表取締役社長:酒匂明彦)、「菜園ナビ」は農業機械メーカーの株式会社オーレック(代表取締役社長:今村健二)が運営。
竹内さんが菜園ナビをはじめた理由
Cropnet早野さん(以下、早野) 初めまして。今日はよろしくお願いします。
菜園ナビ竹内さん(以下、竹内) 初めまして。こちらこそ、今日はよろしくお願いします。
早野 さっそくお聞きしたいことがありまして、竹内さんが菜園ナビを始められたきっかけって何なのでしょうか?
竹内 自分自身の家庭菜園が長続きしなかったことがきっかけです。「どうやったら長続きするんだろう?」と考えて、種まき、肥料、水やり、収穫などのタイミングを教えてくれるサービスがあったらいいなと思いました。でも探してみてもそういったサービスは当時なかった。だから、最初はGoogleカレンダーを代用していました。
早野 そうだったんですね。
竹内 でも、Googleカレンダーでアラームをもらっても続かなかったんですよ。だったら、同じ地区で同じ作物を育てている人同士で繋がれたら面白いんじゃないかと。例えば、ナスを育てている人同士をSNSみたいにひっつけたら長続きしそうだと思いました。
早野 「ナス」と聞くと、実は私がCropnetを作った理由にも通じるんです。大学時代にアパートの庭でナスを育てていたのですが、その収穫の喜びを共有する相手が周りにいなくて。これがCropnetが生まれる元となった原体験です。
関連記事:
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竹内 Cropnetはそんな理由から生まれていたんですね。
早野 まさか「ナス」で繋がるとは思いませんでした。
竹内 そもそもですが、家庭菜園をする人はプロではないのでうまくいくケースは稀だと思うんです。ましてや、毎日仕事で忙しい人は世話をするのも大変です。だから例えば、トマトを育てている人がトマト農家からアドバイスをもらえたら、すごく嬉しいし助かるはずです。
Cropnet上で繋がったメキシコ在住ユーザー
竹内 菜園ナビでは農家さんユーザーがけっこう多いのですが、Cropnetはどうなんでしょうか?
早野 Cropnetは農家さんは少ないですね。ただ、海外にもユーザーがいます。
竹内 海外にも!外国の方ですか?
早野 いえ、海外在住の日本人の方です。メキシコやアメリカ、カナダ、東南アジアなどですね。以前、驚いた出来事は、メキシコ在住のユーザー同士が、サイト上で何度かやり取りしていたら、実は共通の現地の知人がいたことが判明し、より親しくなられたことがありました。
竹内 それはすごい!
早野 ビックリしました。まさにネットだからこそ起こったことだと思います。
家庭菜園SNSをやって良かったと思う瞬間
早野 竹内さんはサービスをやってよかったと思う瞬間はありますか?
竹内 菜園ナビをはじめて「自分はこんなにも探求熱心なんだ!」と気づいたユーザーがいたり、悩みに対するアドバイスを得られて「もっと家庭菜園が楽しくなった!」という声をいただいた時ですね。あとは、ユーザーがスーパーで野菜を見たときに、農家さんの顔が浮かぶようになったという話も聞いています。
早野 それはいいですね。自分自身が実際に育てることで、良い意味で作物を育てることの大変さを体感し、その意識が日々の買い物にも現れているんですね。
農家がもっと尊敬される社会に
竹内 早野さんはどんな想いでCropnetを運営されているんですか?
早野 今のお話にまさに通じるのですが、農家や農業がもっと尊敬される世の中になればいいなと考えています。でも、土や植物に触れたことがない人にこうしたことを考えてほしいと訴えても、おそらくピンと来ないと思います。
だから、農家と消費者の距離を少しでも縮めるためには、土に触ったことがある、少しでも育てたことがある消費者を増やすことが重要だと考えています。それで、家庭菜園を始める人、やっている人を応援するサービスをつくりました。
竹内 なるほど。私も早野さんと想いが通じる部分が多いです。家庭菜園をしたことがある人は、菜園者の目線でスーパーに並ぶ野菜を見ることができるので、こういった視点が増えれば、農家さんがどれだけ苦労してその農作物を育てたかがわかるはず。
そういった人(菜園者)を増やすことこそが、日本の農業を支援していくことと考えています。だから菜園ナビは、菜園者を道案内する”ナビゲートサイト”。初心者や菜園生活が続かない人でも長続きできるようなサービスを目指しています。
早野 今日は貴重なお時間ありがとうございました!お気をつけて福岡までお帰りください。
竹内 こちらこそありがとうございました!また東京に来るときは連絡させてください。
早野 ぜひぜひ!今後ともよろしくお願いします。
***
僕がおふたりと出会ったきっかけは、去年10月に書いたこちらの記事。この記事をきっかけにおふたりと連絡を取るようになり、実際にお会いもしました。
そんな中で、「日本で有名な家庭菜園SNSを運営している、このふたりを一緒に会わせたらおもしろいのでは?」という僕の思いつきで今回の機会が実現しました。
家庭菜園に踏み込めない理由に「知識がない」「仲間がいない」という要素があると思いますが、「Cropnet」「菜園ナビ」はここをまさにカバーしてくれるサービス。
「Cropnet」「菜園ナビ」にはどんどん新機能が追加され、日々進化しています。僕が以前書いた記事は情報が古いのであくまで参考程度に、ぜひ実際にサイトを訪れてみてください。
Cropnet(運営会社株式会社シーエーシー)
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