手軽・簡単・子供から高齢者まで!アメリカで流行中の家庭菜園「スクエア・フット・ガーデニング」とは

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photo credit: Patrick via Flickr

「1日分の野菜」というフレーズ考えた人すごいな、と最近感心しているおうち菜園の江里です。インパクトありますよね。

皆さんは、「スクエア・フット・ガーデニング」という家庭菜園を知っていますか?実はこれ、今アメリカの菜園者の間で大流行しているのですが、日本ではほとんど知られていません。

ざっくり説明すると、木やブロックでできた正方形の枠で野菜を育てる家庭菜園のこと。これがすごく考えられている方法でして、知識のない初心者でも気軽に自分だけの”ミニ畑”が持てるんです。

方法を覚えれば自分でDIYで作れてしまうほどなので、家庭菜園をしたいけど「難しそう…」と尻込みしている人には特にオススメです。

50%のコスト、20%のスペース、2%の作業量

「スクエア・フット・ガーデニング」について調べるとまず出てくる数値がこれ。収穫量は落とさずに、従来の家庭菜園に比べてここまで効率的に栽培できるそう。

100%の収穫量
50%のコスト
20%のスペース
10%の水量
5%の種
2%の作業量

初心者が家庭菜園にチャレンジするときには、「どれくらいのお金がかかる?」「どれくらいの場所が必要?」「どれくらいの手間が必要?」ということが特に気になると思います。その不安点ひとつひとつに対して、「スクエア・フット・ガーデニング」はしっかり答えてくれているんですね。

材料はホームセンターで調達可能

最初に作らなくてはいけないのは、菜園スペースのそのもの。これは木やレンガなどの材料を使って組み立てていきます。

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photo credit: GrowOrganic Peaceful Valley via Youtube

「これが王道!」という材料はないのですが、アメリカの実践者を見てみると、その多くは木で枠を作っています。枠の角の固定は、専用のものを使うか、クギなどで固定しましょう。

そこに、区画用の竹(区画用、あとで説明します)や土(市販の培養土)を入れて、菜園の環境を整えます。

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菜園を準備中のアメリカ人家族 – photo credit: Andy Walker via Flickr

これら材料のほとんどはホームセンターで調達可能なので、初心者でもすぐに始めることができるんです。市販の培養土を投入するだけなので、時間と手間をかけて行う”土作り”が不要なことも大きなメリットですね。

「1区画1野菜」方式

正方形の枠ができあがったら、これをさらに区切って”区画”をつくっていきます。例えば、120cm四方の枠だったら30cmの区画を16個という感じです。区切り用の材料はさきほど”竹”と書きましたが、これは紐などでも代用できるみたいです。

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紐で区切っている様子 – photo credit: Jessica “The Hun” Reeder via Flickr

そして、「1区画に1種類の野菜を植える」というルールを作ることで作業を簡単に。これで何をどこに植えたか一目でわかりますよね。

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photo credit: Bruce Szalwinski via Flickr

野菜によって植える株の間隔(”株間”と言います)は違うので、例えば株間が30cmのイチゴだったら1区画に1つ、15cmのカブなら4つ、10cmのほうれん草だったら9つ、という感じで植えていきます。

栽培できる野菜の量

野菜づくりの効率が格段に上がるスクエアフットガーデン。それでは、120cm四方のガーデン1つでどれだけの野菜が栽培できるのかを見ていきましょう。下記が、おおよその指標となります。

1シーズンに収穫できる量

1つ:大人1人が毎日サラダを食べられる
2つ:大人1人が毎日野菜を使った食事ができる
3つ:大人1人が毎日野菜を使った食事ができ、保存や近所へのおすそわけもできる
出典:書籍『All New Square Foot Gardening』より

家族やカップルで1人1つのスクエアフットガーデンを担当する、なんてことも楽しそうですね。

大流行のきっかけとなった本

「スクエア・フット・ガーデニング」は、今やアメリカの菜園者の間では流行を通り過ぎて”当たり前”の存在になっている印象があるのですが、この現象にはある1冊の本が関わっています。1981年に出版された本『Square Foot Gardening』です。

4歳の子供から高齢者まで、手軽に誰でも家庭菜園ができる内容がうけ、これがアメリカで大ヒット。すでに累計200万部以上が売れています。2006年には新装版『All New Square Foot Gardening』も出版されました。

著者は元エンジニア、定年退職後に菜園を

この本の著者のメルさん(Mel Bartholomew)は、平日はエンジニアとして働きながら、週末は家庭菜園を趣味として楽しんでいました。そして定年退職後には時間がたっぷりと確保でき、その熱意が菜園に一気に注がれます。

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『Square Foot Gardening』著者のメルさん – photo credit: Square Foot Gardening

当時は、みんなで農地をシェアする「コミュニティガーデン」(市民農園)の運営にも関わっていましたが、様々な課題を感じ「これをもっとシンプルにできないか」と考え、「スクエア・フット・ガーデニング」が誕生しました。

まとめ

「スクエア・フット・ガーデニング」とは

1981年にアメリカで出版された本『Square Foot Gardening』の大ヒットをきっかけに普及した新しい家庭菜園の形。木やブロックを使って正方形の枠を作り、区画ごとに区切って野菜を栽培する。設置に特別な知識は必要なく、4歳の子供から90歳の高齢者まで楽しめる。場所を選ばず、コンクリートの上でもできる点が魅力。

必要な道具

木材、竹(もしくは紐、区画用)、除草シート、クギなど。土は市販の培養土を活用。植えたい植物を一度紙に書いて計画するとよい。

設置場所の条件

家の近く(毎日見える場所)
日光が毎日6~8時間当たる場所
植木から離れた場所(日陰になる、養分を吸収するため)
水たまりにならない場所

アイデア次第でどんどん広がる菜園

以上、アメリカで大流行している家庭菜園「スクエア・フット・ガーデニング」についてまとめてみました。子供から大人まで、誰でも簡単に、どこにでも”ミニ畑”が持てる素晴らしいアイデアです。

今回はあくまで王道のやり方を紹介しましたが、これが絶対ということではないので、アイデア次第で誰でもオリジナルのものは作れます。正方形ではなくて、長方形でもいいですものね。

「場所は確保したけど、やり方がわからず進んでいない…」という人は、ぜひ一度「スクエア・フット・ガーデニング」を試してみてください。

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