おうち菜園の読者の皆さま、こんにちは。関東の南端で養蜂をしている飯倉と申します。
養蜂家としてはまだまだ駆け出しですが、みなさんにミツバチと養蜂の素晴らしさについてお伝えできればと思います。
ワインと同じように、ハチミツも鑑賞対象に
今年もボジョレーの解禁日が近づいて来ましたね。作柄や例年と比べての評価などが早くも伝えられてきています。
すでにワインは、食品の枠を超えて”鑑賞”の対象に。確かにワインは素晴らしい芸術品です。
ただ、蜂飼いの端くれとしてはこうも思います。
「なぜ、ハチミツは鑑賞されないのだろう?」
ハチミツの表情は年・場所・花で変わる
本来、ハチミツには個性があります。スッキリとした甘さのアカシア、滋味に富む蕎麦、サクラやコーヒーのハチミツもあります。味だけでなく、色や香り、栄養価も違います。それはワインのように鑑賞にたえうるものです。
同じハチミツでも年や産地によって異なり、搾りたての香高さは実に新鮮です。そんな新蜜の花の香を賞美する文化があっても良いのにと思います。
一人当たりの年間消費量は、お茶碗2膳ほど
皆さんは、日本での年間ハチミツ消費量をご存知でしょうか?一人当たり300gといわれています。ご飯でいえば、お茶碗約2膳ほどです。
でも、巣箱を置くスペースと周囲の理解、飼育者の愛情さえあれば、ミツバチの作り出すハチミツはこんな少量ではありません。
例えば、私が在来種の日本ミツバチ1群(1箱)から収穫させてもらったハチミツは、5kgありました。年消費と思えば実に約17年分。ハチミツは腐らず、17年後でも問題なく食べられる食品ですから、なお驚きです。
より集蜜に特化して家畜化された西洋ミツバチでは、さらに驚異的です。1群あたり条件が良ければハチミツ100kg、年消費にして約333年分です。一生分を超えてしまいましたね。24世紀まで食べ続けることになりそうです。
家庭菜園で育てた野菜がなぜか美味しいように、自家生産のハチミツは格別!おうちの周りの花々、近くの山の木々、巣箱を中心とした半径数kmの花蜜が濃縮された、世界に二つとないヴィンテージは、庭の片隅でも作れます。
おそらく甘味料として捉えられ過ぎたがために、ハチミツはその個性を奪われたのかも知れません。本当は実に個性豊かで、自分で生産することも可能なんです。
生産量はあくまで一例ですが、蜂産品はハチミツに留まりません。ミツバチがもたらす恵みと養蜂の世界に、目を向けてみませんか?
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- 好きな野菜は、アボカド。
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