緑茶も紅茶も元は同じ植物。意外と知らないお茶の生産、ランク、効能のこと

Photo credit: modomatic via Flickr

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ハーブ専門家によるお茶のお話。毎日飲んでいる人も、たまに飲んでいる人も、向き合い方が変わりそうな濃い記事です。後半には効能リストもあり。

こんにちは。英国認定メディカルハーバリストのデールです。今回は、身近な飲み物「お茶」のお話を。

一般的なカフェでは「お茶(ティー)」「コーヒー」「ハーブティー」と3つに分類していますが、お茶とコーヒーの原料もハーブです。そしてお茶は、水に次いで世界で最も飲まれている飲料水。

緑茶、烏龍茶、紅茶、白茶

お茶には4つの基本的なタイプがありますが、これらの原料は全て「チャノキ」(学名:Camellia Sinensis)と呼ばれる植物です。

この葉をどう加工するのかによって、出来上がるお茶の種類が変わってきます。

Photo credit: Starr Environmental via Flickr

チャノキ(茶の木)。収穫されたチャノキの葉は乾燥させないと酸化し、しぼみ、クロロフィル(緑色の天然色素)が酸素と共に壊れていき、色がどんどん暗くなります。お茶の業界ではこの過程を「発酵」と呼び、この度合いによって出来上がるお茶が異なります – Photo credit: Starr Environmental via Flickr

お茶の4つのタイプ

・グリーンティー(緑茶)
・ウーロンティー(烏龍茶)
・ブラックティー(紅茶)
・ホワイトティー(白茶)

緑茶は発酵せずに摘んで蒸した葉を、烏龍茶は短時間発酵させた葉を、紅茶はしっかりと発酵させた葉を、白茶は摘んですぐ乾燥させた葉を使ったお茶です。

Photo credit: Chris via Flickr

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紅茶のグレード(ランク)

それぞれのお茶には使われる葉のサイズに応じたグレード(ランク)があります。

一般人からすると、そこには数え切れないほどのランクがあるのですが、一例をあげると、一枚の葉をそのまま使う「Pekoe」(ペコ)と呼ばれるランク。

これもサイズに応じて「Orange Pekoe」「Broken Orange Pekoe(BOP)」「Broken Pekoe(BP)」などがあります。BOPとBPでは、機械で砕いた葉が使われます。

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8〜15cmの葉を使った「Orange Pekoe」の茶っ葉 – Photo credit: Akuppa via Flickr

例えば紅茶は、主な生産国であるインド、スリランカ、ジャワ島、インドネシア、アフリカがこのグレードを採用しています。(一部の中国の紅茶もそうです)

お茶の歴史—最初の一口は中国の皇帝

お茶の歴史は、5000年前の中国にまでさかのぼります。当時の皇帝「神農」(Shen Nung)が1杯のお湯を持ってくるよう頼んだとき、その上にたまたまチャノキが育っており、その葉が数枚カップに落ちました。

お湯は黄金色に染まり、これをきっかけに中国でお茶が飲まれるようになったそうです。以来、薬としても3000年以上前から飲まれています。

3つの主要成分—カフェインは珈琲の半分

チャノキには主に3つの刺激物が含まれます。

・カフェイン
・テオブロミン(チョコの苦味成分)
・テオフィリン(茶葉に含まれる苦味成分)

他には「テアニン」というアミノ酸が落ちつかせる効果を持ちます。カフェインの量は1杯のコーヒーの半分ほどです。

14のお茶の効能—ダイエットから心臓病まで

Photo credit: KaiChanVong via Flickr

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私たちは昔からずっとお茶を飲んできていますが、今まで多く行われてきた研究結果によると、下記のような効能があります。少し長いですが、ご覧ください。

リラックス効果

中国ではお茶にはリラックス効果があるとされています。

胸部鬱血(うっけつ)

コーヒーにも含まれる刺激物が気管支を開き、呼吸を楽にします。

抗酸化作用

お茶には強力な抗酸化性を持つ成分「ポリフェノール」が含まれます。これが細胞の修復を助けてくれます。

心臓病

オランダ人研究者が1993年にイギリスの医療ジャーナル媒体「THE LANCET」に発表した論文によると、お茶は心臓病に効果的で、飲めば飲むほど効果が高まったそうです。ただし、牛乳と一緒には飲まないように。効果が薄まります。

脳梗塞

心臓病のリスクを低下させるのと同様に、お茶の抗酸化物質は脳梗塞のリスク低下にも役立ちます。

癌(がん)

緑茶は癌予防に効くと言われており、1988年に九州で発表された調査結果にも、同様の内容が記されています。

糖尿病(2型)

日本で以前発表された論文によると、緑茶を毎日6杯以上飲んでいた人は、糖尿病2型になるリスクが33%下がったそうです。烏龍茶にも同様の効果が認められています。

ダイエット

カフェインは基礎代謝率(BMR)をアップさせますが、フランスと日本で以前行われたダイエットプログラムでは、減量の効果が認められています。

骨粗鬆症

日本、イラン、オーストラリアで発表された論文によると、緑茶を飲んでいる人の骨密度(BMD)は高く、これは骨粗鬆症の予防につながります。

関節リウマチ

米国アラバマ州の研究員が55~69歳の女性3万人分のデータを元に算出したところ、毎日3杯以上のお茶を飲むことで、関節リウマチのリスクを61%減らせることがわかったそうです。

湿疹

日本で発表された論文によると、毎日3杯の烏龍茶を1ヶ月間飲むことが湿疹の改善につながるとのこと。含まれるEGCG(没食子酸エピガロカテキン)というカテキンの一種が抗炎症性を持ち、効くとされています。

下痢

収斂性のあるタンニンを含むことで、これらが束なる作用が下痢に効くとされています。

虫歯

お茶を飲むことで虫歯を起こすバクテリアを抑制させると言われています。

タンパク質フォールディング

2014年11月にアメリカとスウェーデンで発表された情報によると、EGCGがウイルスの自己複製を抑制し、エボラ出血熱、C型肝炎、インフルエンザA型、デング熱に効果的だとわかりました。

タンパク質のフォールディング(タンパク質が正しく折りたたまれて機能すること)は直接病気にはつながりませんが、これは新たに発見された緑茶の効能のひとつです。

このように、お茶には様々な効能があります。

夜に飲むとカフェインが効いて眠れなくなってしまうこともあるので、なるべく夜には飲まないように。普段から飲む習慣のない人は、特に。

覚えておきましょう。

Tea a longer, healthier life in every cup.
(毎日のお茶一杯が、健康的な暮らしに)

それでは。

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