どうも、おうち菜園の江里です。最近シェアハウス暮らしがはじまって、夕食だけはがんばって自炊中です。よくする料理は、温野菜。(蒸すだけですけど…)
ところで皆さんは、家庭菜園用にプランターを用意するとき、ホームセンターで買っていますか?それとも自分でつくっていますか?おそらく前者が多いと思いますが、今回紹介する事例を知れば、「育てる容器って自分でつくれるんだ!」という感覚がアップするかもしれません。
その事例の名称は「Open Source Beehives」(OSBH)。”Beehive”の単語の通り、”養蜂”(みつばち飼育)をテーマにしたもの。なんと、巣箱の設計図が全世界に公開されていて、だれでも作ることができるんです!しかも、世界で起こりつつあるミツバチの危機を救うかもしれない、とても意味のあるプロジェクトです。
植物の受粉を助けているミツバチの数が減ることによって、生態系のバランスが崩れることはもちろん、身近な話でいうと、野菜や果物の値段高騰にもつながります。こう説明されると、他人事ではない気がしてきませんか?
ミツバチ大量死の原因を突き止める
デンバー(コロラド州)、バルセロナ(スペイン)、ブリュッセル(ベルギー)在住の生態学者、養蜂家、エンジニアなどが集まって始まったプロジェクト「Open Source Beehives」の目的は、世界中で起こっているミツバチの大量死の原因を突き止めること。このために、養蜂に必要な巣箱の設計図をネット上に公開し、より多くの人が養蜂家になれるような状態を整えています。
世界中で起こっているミツバチの大量死(消滅)には、「蜂群崩壊症候群(CCD)」という名称がつけられていますが、その原因は疫病・ウイルス説、栄養失調説、農薬(ネオニコチノイド)説など様々なことが語られていて、未だにはっきりしていません。
だからプロジェクトのメンバーは、世界中の養蜂家がもっと増え、その飼育状況(温度、湿度、光度など)のデータを収集できれば、解明につながると考えたのです。
3Dプリンターで巣箱を印刷
ここ数年でクリエイターを中心に普及しつつある”3Dプリンター”の特徴は、その名の通り立体的な印刷ができる点。例えば、フィギュアやiPhoneケースなどを印刷することができます。印刷時に使うデータは”3Dデータ”に変わり、インクは多くの場合、樹脂が使われています。
そして、「Open Source Beehives」が用意している3Dデータは、Colorado TopBarとBarcelona Warréの2種類。3D印刷に必要なのは、このデータと木材、そして3Dプリンター。この3つが揃えば、今すぐにでも巣箱をつくることができるんです。
オープンソース型センサー「Smart Citizen Kit」
プロジェクトの神髄はここから。巣箱のデータに加え、飼育状態をモニタリングできるセンサーも提供することで、世界中の様々な地域の養蜂データを集めていきます。
このセンサーは「Smart Citizen」というオープンソースプラットフォームが基盤となっていて、こちらも巣箱と同様に設計図が公開されています(=オープンソース)。なので、これを誰でも簡単につくったり、修正を加えて改善をすることができます。
これによって、世界のどこのミツバチが、どんな状態のときに、どんな行動を示しているのか?などの飼育データベースができあがっていき、未だ原因が不明なミツバチ激減問題の解決に繋げていくのです。
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どうでしたか?個人的には、生態系についてとても考えさせられるうえに、最先端技術を活用したアプローチ方法がとても印象的でした。
これを養蜂だけではなく、例えばプランター、シャベル、さらには菜園キットなんてものまで自分の家の3Dプリンターで印刷できる時代がくる、なんてことを想像するとワクワクします。
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